【読書感想しりとりリレー】ブラック・コーヒー/アガサ・クリスティ

今回の選書は

ミステリの女王アガサ・クリスティの同名の戯曲をチャールズ・オズボーンが小説化した作品です。
 
もともと海外作品はどうも日本語のリズムがあわなくて避けて通っていたのですが、早川書房クリスティー文庫が創刊され、かなり読みやすい新訳が出たのを機会に、手にとって見ました。
  
もとが戯曲である性質上、全編を通して舞台となるのはある科学者の屋敷、それもほぼ読書室に限られています。
登場人物は屋敷の主である科学者とその一族、いかにも怪しげな招かれざる客、医者、名探偵ポワロと友人のヘイスティング、そのほかには警察の人間と屋敷の使用人が数名と、総勢でもせいぜい15名くらい。その中である盗難事件がおこり続いて殺人事件がおこります。犯行をなしえたのは誰か、動機は何かという謎に対してポワロが灰色の脳細胞を働かせます。
 
作品の長さ的には中篇程度にまとめられているため、小説として読むと今ひとつ物足りない感が否めませんが、本来の戯曲として、これを酸いも甘いも噛み分けたしぶい役者が演じたらいい舞台になるだろうなと思います。朗読劇でもいいかもしれないです。
 
蛇足ですが、もし、これからこの作品を読まれる方は解説を先に読んでしまわない様注意してくださいね。予告なくネタばれされてるので(しかもクリスティのほかの作品の分まで)先に読んでしまうと興がそがれてしまいますので。