【読書感想しりとりリレー】月曜日の水玉模様/加納朋子

さて、しりとりのお時間ですよ。正直なところ、前任の鰆さんから「げ」と連絡があったときは、思わずガッツポーズでした(笑)。かなりお気に入りの1冊をご紹介できるなんて幸せです。でも、またしても旅人さんには「う」をまわしてしまいました。2分の1の確率で「う」をまわしてるなんて、次にお会いしたら刺されそうですね。
 

月曜日の水玉模様 (集英社文庫)

月曜日の水玉模様 (集英社文庫)

加納朋子さんといえば、デビュー作「ななつのこ」に始まる駒ちゃんシリーズが有名ですね。よく北村薫さんの「円紫師匠と私」シリーズと対で語られることが多いようですが、個人的には、正直どちらも私自身が知っている大学生と違和感があって、いまいち思い入れがありません。
(それでも「ななつのこ」は秀逸なできだと思いますけど)
 
そんなこんなで、初めて読んでからしばらくは遠ざかっていたのですけど、今回ご紹介する「月曜日の水玉模様」を気まぐれから手にとってみて、自身の不明を恥じましたよ。こんないい作品を書く作家さんをほったらかしてたなんて!!
 
というわけで、作品ですが、主人公は片桐陶子という中堅OLと、萩広海というフライパンから飛び出した豆のような新人社会人の二人。この二人が、どうして知り合い、どのような関係になるのかは読んでみてのお楽しみです。
 
もともと、連作短編集という形態にはとことん弱い私、それだけでもひきつけるには十分だったんですが、月曜日から始まり日曜日までの7話という構成、さらにそこに隠されたある仕掛けにもうめろめろです。
 
内容的には、いわゆるほのぼの日常の謎系なわけですが、
中小企業に勤める、(もう若いと表現されるほどではない妙齢の)しっかりもののOLに視点を置いて描かれているせいか、ただ甘くほのぼのしているだけではない、何かを感じます。
  
会社や仕事に不満があるわけではない、ほかの社員から頼りにされている自覚もある、
出世競争に参加しなくていいぶん気が楽でもある、でも、たとえ能力があっても評価対象にどうしても「若さ」が入ってきてしまう、そんなもどかしさが、過不足なく描かれていて、これはすごい!!と思いました。多分、事務職で20代も後半以上になったOLなら一度くらいは生々しく感じたことがあるんじゃないでしょうか。
もうひとりの新社会人・萩広海くんの初々しい感じにも好感が持てますよ。
お姉さんがかわいがって あ・げ・る みたいな(笑)
 
というわけで、最後のは冗談だとしても、一つ一つの謎も魅力的だし、出てくる人々もいい味出してるし(ぽんぽこ親父がかなり好き!!)、全部を読み終えて初めて見えてくる謎と答えもすばらしい。
 
とにかく、一つ一つは短編だから気軽に電車の中とかで読めるし、ぜひ一度お手にとって観てください。あ、第一章を読むなら朝の通勤ラッシュの電車の中が一番お勧めかも、なのです。